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かつて日本は、世界から「どちらを選ぶか」と三度、問われた。
より良き道を選べなかったのはなぜか。
日本近現代史の最前線。
ベストセラー『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』第二弾!
戦争までの歴史を決めた三つの交渉を高校生とともに考えてゆく、6日間の講義録です。
扱うのは、日本と世界が斬り結んだ、決定的に重要な歴史の一場面、満州事変とリットン報告書/日独伊三国軍事同盟/日米交渉です。
国や個人は、どのように自らの立場を選択したのか、すればよかったのか。そこで悩み、考え抜いた人間から生みだされるものとは何か。当時の人間に見えていた世界を再現し、最適な道を見つけるにはどうすればよかったかを考えてゆきます。
国家と国民の関係の軸が、過去にない規模で大きく揺れ動いている。そして、わずかな偶然が世界のありようを大きく変えてしまうかもしれない。そのような時代の激変期である今、歴史を正確に知っていくことこそが、未来への処方箋となるはずです。瑞々しい問いを発する高校生とともに、歴史の面白さを全力で届けることをめざした本書を、ぜひご覧ください。
目次
はじめに
1章 国家が歴史を書くとき、歴史が生まれるとき
「歴史のものさし」で世の中をはかってみる
年齢で、伝える内容に制限をかけない/長いスパンでものを見る態度
現代の史料を、過去のデータと照らし合わせて読む
戦争と政治・外交は地続き/いくつもの「戦後」、見えにくかった犠牲の姿/歴史の中の沖縄/全国戦没者追悼式における象徴天皇の式辞/国民と象徴天皇との関係/日本政府はどのような言葉で、国民と国際社会に訴えたか/談話の中の日本近代の歩み/日本にとっての戦後とは/植民地帝国日本の経済力とは/日本帝国と植民地との緊密な経済的結びつき
歴史が書かれるとき
国家は歴史を形成する/七世紀、東アジアで戦われた、日中戦争/「日本という、新しい国の遣いとして来ました」
歴史の始まりとは
紀元前五世紀に生まれた歴史の問い/真実に近づくための言葉の営み/国民を主人公とした歴史が書かれるとき/経済学の目的とは/アメリカを独立させるべきか否か/世界の大きな分岐点
2章 「選択」するとき、そこでなにが起きているのか リットン報告書を読む
日本が「世界の道」を提示されるとき
日本と世界が「斬り結ぶ」瞬間/「選ぶ」ということ/満州事変――将来の戦争に備えるための占領計画/史料に残されていれば、二千年前のことでも論理は伝わる/リットン調査団が派遣された経緯/調査の旅から帰ったリットンが話したこと/リットンに日本が訴えたのは、戦争の歴史だった/リットンが提示した「世界の道」/リットン報告書の主な内容/リットンが提案した一〇の条件/お姉さんにあてたリットンの手紙/チャタム・ハウスでの賛成意見――現実的な処方箋だ/「支那はなんらの犠牲を払うことなく満州を回復した」/「大衆は多くの事実の真相を知らずにいます」
選択肢のかたちはどのようにつくられるか
報告書を待ちながら、日本の反応/溥儀にとっての満州国とは/中国側の反応/日本側はなにを恐れていたのか/関東軍が嫌がる条件とは/選択することの困難さを自覚する/領土を返還するか、占領を継続するか/日本が設定した選択肢、リットンが設定した選択肢はなにか/リットンが問いかけていたこと 満州という一部か、中国全体か
日本が選ぶとき、為政者はなにを考えていたのか
「弾圧」と「煽動」のキーワードからは見えてこないもの/政府や為政者の主張を制約するものはなにか/牧野伸顕内大臣――満人にも呼応する動きがあった/天皇――「日支親善できないか」/西園寺公望――采配の元軸を握るべき/松岡が最低限、確保しなければならない条件/松岡の粘り方/日本が「世界の道」を、もう一度示されるとき
3章 軍事同盟とはなにか 二〇日間で結ばれた三国軍事同盟
軍事同盟とはなにか
人類が大きな選択を迫られた軍事同盟/時間がドイツに味方していない/軍事同盟が現実的な議論になる国に/枢密院の審査はたった一日/軍事同盟に書かれる必須要素とは?
なぜ、ドイツも日本も急いだのか
イギリスの第二の選択肢/国家がなくなったところで起きていたこと/二十日間で結ばれた条約/マスメディアに伝えられた検閲基準とは/三国同盟を承認した際の御前会議/なぜ軍部より、首相や外相の見通しが甘いのか/「毅然たる態度が戦争を避ける」/調印直前、海軍大臣が代わる/条文を読む/名指しせず、アメリカを仮想敵国とする第三条/ 大東亜とはどこか/ドイツは前文の趣旨を理解しているのか
「バスに乗り遅れる」から結んだのではない
どうして日本は蹴れなかったのか/日本が三国同盟を締結し、ドイツに接近したかった理由/ドイツを牽制するための、対ドイツ同盟/大東亜共栄圏という言葉は、なんのため/ペンタゴンのヨーダが分析し続けていたこと/日中和平工作/選ぼうとする中国/軍事予算の陸海軍の比率は?/対米戦争の見通し 陸海軍で摺り合わせはできていたのか/選択するための「時間」
4章 日本人が戦争に賭けたのはなぜか 日米交渉の厚み
戦争前夜、敵国同士が交渉の席に着く意味は
日米交渉を担った二人 野村とハル/戦争前夜、敵国同士が交渉の席に着く意味は?/日米交渉と聞いて、なにを調べるか/「ハル・ノート」で罠に、はめられた?/アメリカの意図 なぜ、日米交渉をやるのか/日本の意図 なぜ、日米交渉をやるのか/チャーチルから松岡への手紙/ドイツ大使・オットから松岡への手紙
史料に残る痕跡
日米諒解案/日本とアメリカが実現したかったこと/首脳会談プラン、アメリカと近衛の関係/日米交渉、舞台裏の立役者/日米交渉の裏にある厚み
日本はなぜアメリカの制裁を予測できなかったのか
日中戦争解決策の変遷/武力行使の条件/被動者/「対英米戦を辞せず」という文言はなぜ入ったのか/南部仏印進駐をめぐって、なぜ日本側の目算は狂ったのか/北部仏印進駐でのアメリカの対応/日本の南部仏印進駐時のアメリカの対応/国民は、その道のみを教えられ続けてきた/外相人事と近衛メッセージ/交渉を制約したものは/尾崎秀実と天皇の国民観
絶望したから開戦したのではない
「日支新取極」とはなにか/妥結した場合の国内輿論指導方針/「駐米日本大使館員の勤務怠慢による対米通告の遅れ」という神話/アメリカの失敗/開戦、敗戦後の日米交渉の扱われ方/日本人が最終的に戦争を選んだ理由
終章 講義の終わりに 敗戦と憲法
講義の終わりに
国民を存亡の危機に陥れた戦争/沖縄の人々の意識を縛った、共生共死の四文字/洞窟で読み聞かされたビラ/中国での武装解除/戦争に賭けた日本は、なにに負けたのか/百年まえの古傷がうずく現代史/大東亜戦争調査会/日本の敗戦の記録は、世界に対する贈りもの/講義を終えて
出版社:朝日出版社
著者
加藤陽子
東京大学文学部教授
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